今回は、顧客ポートフォリオ・マネジメント理論で何がわかるのかお話したいと思います。
これまで、「顧客ポートフォリオ・マネジメント理論」では、顧客層を10パターンに分けることを説明いたしました。
今回は、各顧客層について説明します。
(1) 初回客
自社から初めて何かを購入したお客様
(2) 初回離脱客
一度だけ買って、離れてしまったお客様
(3) よちよち客
短い期間に2回以上購入したお客様
(リピート予備軍)
(4) よちよち離脱客
リピート予備軍から離れてしまったお客様
(5) コツコツ客
毎回の購入金額は少ないが、安定して購入してくれるお客様
(リピート客)
(6) コツコツ離脱客
リピート客から離れてしまったお客様
(7) 流行客
短期間に特定金額以上購入し、プレゼントや値引きに敏感なお客様
(8) 流行客離脱客
流行客から離れてしまったお客様
(9) 優良客
長期にわたって特定金額以上購入してくれるお客様
(ファン)
(10) 優良離脱客
ファンから離れてしまったお客様
基本的には、「初回客」→「よちよち客」→「コツコツ客」→「優良客」というステップをお客様に進んで頂くことが理想です。
そのために、顧客ポートフォリオを見ながら仮説・検証を定期的に行い、お客様が離脱しないための対策を検討するミーティングを重ねます。
どれだけ多くの「初回客」に、途中で離脱することなく最終ゴールの「優良客」へ進んでもらえるかを、”社員全員で考える”というのが顧客ポートフォリオの正しい使い方です。
お気づきかもしれませんが、上記には「流行客」は含まれていません。
「流行客」が抜けている理由は、特典や特別な値引きに過度に敏感なお客様は「会社」より「安さ」に興味があり、より「安い商品」があれば、すぐに他社商品に乗り換えてしまうお客さまだからです。
お客さまとのご縁をつなぎ絆を深め、どんどん自社を好きになってもらってファンになって頂くことが、「顧客ポートフォリオ・マネジメント理論」を活用する目的なので、「流行客」を増やすよりも「コツコツ客」にフォーカスする事を大事にしています。
(必ずしも「流行客」が”悪い”と言っている訳ではありません。それが、あなたの戦略ならばそれはそれで構いません。が、もし「流行客」が多いという事実がわかった時には、是非一度自社にとってその戦略がどのような意味を持つか考えてみて下さい。)
「顧客ポートフォリオ・マネジメント理論」の「根本的思想」は、『売上はお客さまを喜ばせたご褒美である』という考え方で、「顧客満足度が上がれば、自然と売上は上がってくる。」という考えです。
そして、良いお客さまと悪いお客さまがいるのではなくて、「お客さまは変わる。だから、既存客に継続的に情報提供していくことで、自社に共感して頂く。」というスタンスで、お客さまの行動変化を観察していくためのモデルです。